建物に関する相談
- Q1 建物表題登記とはどんな登記ですか?
- Q2 先月死亡した父の未登記建物を私の名義で登記できますか?
- Q3 増築した建物の登記は誰の名義となりますか?
- Q4 区分建物の登記手続きはどのようにしたらよいでしょうか?
- Q5 区画整理区域内に建てた建物の番地が異なるのはなぜですか?
- Q6 ガレージとブロック塀も登記できますか?
- Q7 子供部屋の増築をしましたが登記しなければなりませんか?
- Q8 増築部分を別個登記し担保に入れることは可能ですか?
- Q9 自宅新築の登記手続きについて教えて下さい
- Q10 古い建物の滅失登記は誰がすればよいのですか?
- Q11 建物表題登記がされていないままでよいのでしょうか?
建物表題登記とはどんな登記ですか?
建物を新築したので、金融機関で相談したところ所有権保存登記の前に「まず建物表題登記をしてください」と言われました。これはどんな登記ですか。
登記記録は1個の土地、建物ごとに作られ、表題部、甲区、乙区に分かれています。表題部がないと甲区は出来ませんし、甲区がないと乙区もできません。ですからまず表題部の登記が必要なわけです。
表題部には所在、家屋番号、種類、構造、床面積、新築の日付、登記の日付、所有者が記載されており、この建物がどこにあって、何に使われ、何で造られ、面積がどれだけで、いつ建って、だれのものかすぐわかるようになっています。
この最初にする登記を建物表題登記といい、建物の形と所有を示すために建物図面を、床面積の記載のために各階平面図を、種類・構造・新築の日・所有者を特定するために建築確認申請書や建築工事人の工事完了引渡証明書を添付して、建物が完成してから1カ月以内に申請することになっています。
原則として本人が申請すればよいのですが、図面には測量に関するかなりの知識が必要ですし、書類についても高度の法律知識と書式(浹められた書き方)を要求されます。そこで、早く確実に登記を行うため、この専門家として土地家屋調査士制度があり、依頼すれば登記申請を代理して行ってくれます。
詳細については土地家屋調査士にお尋ねください。
先月死亡した父の未登記建物を私の名義で登記できますか?
今、私が住んでいる家は20年ぐらい前に父が建てたものです。父は先月死亡したので相続財産を調査したところ、この家はまだ登記がしてありませんでした。長男である私の名義で登記することができるでしょうか。
次の条件を満たせばあなたの名義で登記することが出来ます。正しくは相続が開始の日(父死亡の日)から1カ月以内に建物の登記をしなければならないこととされています。
本問ではあなた以外にも相続人がおられるようですが、あなた名義で登記をする場合次のいずれかの条件が必要となります。
一、あなた以外の相続人が全員相続を放棄した場合。
二、あなた以外の相続人が民法第九〇三条でいう特別受益者に当たる場合。
三、相続人間の協議によりこの建物をあなたのものとする事についての合意が成立した場合。
これらに該当しない場合は相続人の共有となります。
いずれにしても未登記の建物は、新築、売買、相続等により新しく所有者となった者は、事件の発生した日から1カ月以内に表示登記を申請しなけれぱならないとされております。
表示登記を申請するには、申請書にあなたの所有であることを記する書面、建物の所在、形状を明確に表した図面等を添付して法務局へ提出します。提出する図面や相続関係の書面には専門的な知識や技術を要することがありますので詳しい事は土地家屋調査士にお尋ね下さい。
増築した建物の登記は誰の名義となりますか?
増築した建物の登記がどうなるのかお聞きしたいのです。登記してある父名義の建物に、父と私が半分ずつ費用を負担して増築しました。
いろいろなケースが考えられます。
①増築として登記し所有者を二人名義に直す。
②別個の建物に登記する。
③区分建物とする。
この三つが代表的な例ですが、②と③については、あなたに当てはまらないと思いますので省略します。あなたのケースはおそらく①になると思います。また最近こうした建物が多くなってきました。
条件は、利用・構造上の一体性といって、新旧の建物が生活上一体として利用されていることと、屋根・柱・内外壁・床などの構造部分がつながっていることの二つが必要です。普通の増築はほとんどこの条件に当てはまります。
まず増築部分については、お父さん名義の建物の表示変更(増築)登記をせざるを得ないのです。この変更登記では、所有者は変わりません。増築した部分も全部あなたのお父さんの所有になってしまいます。そこで次に、所有者を事実上の名義人とする登記をします。最終的には、あなたとあなたのお父さんの共有となり、それぞれの所有権は持分何分の何と記載されます。
詳細については土他家屋調査士にお尋ねください。
区分建物の登記手続きはどのようにしたらよいでしょうか?
隣地の人と土地を提供し合って、共同でマンション形式の三階建分譲住宅を建てました。全部で12室(個)ありますが、これを個別に売りに出す場合に登記はどのようにしたらよいでしょう。
区分建物の登記手続きが昭和59年1月1日から改正になりました。
まずお二人の間で12個の専有部分についての持ち分を定めておくことが必要です。そして所有者全員が共同で使用する部分(廊下・階段・会議室など)が規約で定められているかどうかも重要な点です。
お互いに土地を出し合ったときは、その敷地の利用方法をどうするかによって登記の内容が異なってきます。例えば建物の割合に合わせて土地を分譲するのか、賃貸するのか、建物のみを分譲するのか、『建物の敷地に関する規約』があるのかといった点です。
改正によって、建築主は区分した建物全部を一括して同時に表示登記を申請することになりました。新たに専有部分を買った人は、直接保存登記を申錆することができます。これも土地(敷地権)との関係があり一様ではありません。マンションを買う人のために、今まであった多くの問題を一挙に解決し、所有者の安全と権利の保全をはかれるように改正されています。
区分建物は一般に『マンション法』と呼ばれる法律が適用されるため、一般の建物とは取り扱いがまったく異なってきます。詳しいことはお近くの土地家屋調査士にお尋ねください。
区画整理区域内に建てた建物の番地が異なるのはなぜですか?
区画整理区域内の土地で区画割によって指定された私の土地(3字8番)上に、住宅を建てて建物の登記をしたところ、登記記録上建物が4字5番地に建っていることになりました。他人の土地に建てたようでふにおちません。どうしてこんな事になるのでしょうか。
あなたの所有している土地は、土地区画整理法による事業地域内で仮換地の指定を受けた土地と思われます。あなたが所有している土地の番地と、建物を建てられた土地の地番が一致しないのは間違いではありません。
土地区画整理事業を実施するときは、実施区域内の土地全部に対して、新しく海路、公園等を造り、いくつかの区画割を行います。この区画割を従前地の所有者に対して、従前地に替わる土地(換地)として新番地で登記をして割り当てられます。ところがその工事や換地をする作業に長い期間を要することが多く、従前地の所有者がその期間利用する事が出来ないので、換地計画が進むと、現地の登記をする前に計画に従って従前地所有者に対し、仮に利用することのできる土地(仮換地)を指定します。建物の建てられた土地はこの仮換地上のため、まだ新しい町名番地がなくその登記もしてないので、土地売買等は従前地(3字8番地)で行います。
建物の登記の場合には、その所在地として従前地ではなく、仮換地の位置に工事前にあった土地(4字5番地=底地)を登記することとされているため、あなたの所有している土地とは異なった番地で登記が行われます。しかしこれも換地処分完了時には、土地、建物共に新町名番地に統一されます。
詳しくは土地家屋調査士にお尋ねください。
ガレージとブロック塀も登記できますか?
ガレージとブロック塀とを作りましたが、これらは登記することができるでしょうか。
ガレージは、場合により建物として登記することができますが、ブロック塀は登記することができません。登記は、不動産すなわち土地または建物及び法令により、不動産とみなされるものについて行うこととされています。
ところで、建物についての登記は、不動産登記法に基づいて行います。これには登記できる建物の要件が定められています。したがって、あなたの建てられたガレージが、その要件を満たしていれば登記をすることができます。
登記できる建物の要件は屋根及び周壁またはこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるもので、独立して不動産としての取引性が認められるものであるとされています。
ガレージには、周壁と定着性の要件を満たしていない簡易な構造物がありますので、この点について特に調査されることが必要です。これらのことについては専門的な知識と判断を必要とし、登記をするについては、さらに調査、測量をして、図面を作成することが必要であります。
詳しくは、その専門家である土地家屋調査士にお尋ね下さい。
なお、4月1日(表示登記の日)に『無料法律登記相談』を、県下23会場で開催します。
登記に関連することでお困りのことを最寄りの会場でご相談されることをお勤めします。
子供部屋の増築をしましたが登記しなければなりませんか?
このたび、母屋に接続して四・五畳の子供部屋(7.4平方メートル)を増築しました。この程度の小さなものでも登記しなければなりませんか。また、母屋には銀行の抵当権の登記がされていますが、この効力はどうなりますか。
建物を増築したときは、その所有者は、工事が完了してからーカ月以内に建物表示変更の登記を申請しなければなりません。この場合、床面積の大小は問いませんから、たとえ本問のようなわずかの面積の増加であっても登記申請する義務があります。
建築基準法では、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築する場合、その床面積の合計が10平方メートル以内であれば確認申請は不要とあります。しかし、不動産登記法にはそのような特例は設けられていませんから、例え少しばかりの増築であっても登記しなければなりません。
次に、増築された部分が構造的にも、利用的にも母屋から独立したものであれば、例え屋根が同じで一棟の中に位置していても、この部分だけを別個の建物として登記する事は可能です(区分建物)。
ただ、この独立性の判断については、あなたの意思と社会通念によって決まるものですが、本問の子供部屋のような場合、独立性は薄いと考えられます。すなわちこの部分は、母屋の一部を構成していると考えるのが妥当でしょう。とすれば、母屋になされている抵当権の効力は、増築されたこの部分にも当然およぶことになります。
詳しくは土地家屋調査士にお尋ねください。
増築部分を別個登記し担保に入れることは可能ですか?
父の家に、私が資金を出して仕事部屋と子供部屋を増築しました。増築部分を私の名前で登記し、共済組合の担保に入れるにはどうやって登記したらよいのかお聞きしたいのです。
増築部分を既設部分と別個に登記できる場合は、増築部分と既設部分との間に障壁があり、それぞれが別々に利用し得るもの【区分建物】に限られています。
お尋ねの場合については、増築部分を別個に登記することは難しいと思われます。したがって、次のような方法で登記せざるを得ないと思われます。
①既設部分が、すでに父親名義で登記されている場合。
父親が、既設部分について、増築部分を父親自らのものとして増築の登記をし、その後に、所有権の一部をあなたが譲り受ける登記をして父親とあなたの共同所有にし、最後にあなたの共同持ち分について担保権を登記する。
②既設部分がまだ登記がなされておらず、父親名義となっていない場合。
その建物を、父親とあなたの共同所有のものとして建築したいという登記(建物表題登記)をして、その後に父親とあなたの共有の所有であるという登記(所有権保存登記)をし、最後に①と同様の担保権の登記をする。
①の場合には増築登記、②の時の建物表示の登記のいずれも増築後一ヵ月以内に法務局に申請しなければなりません。
この申請には、建物とその敷地についての調査,測量等の専門的な知識を必要としますので詳しくは土地家屋調査土にお尋ねください。
自宅新築の登記手続きについて教えて下さい
三年前に自宅を新築したのですがいまだ登記をしてありません。どこへ依頼すると登記手続きをしてもらえるのでしょうか。
土地家屋調査士という表示登記の専門家がいます。この人達は国家試験に合格した人であり信頼がおけます。この人達に依頼されるとよいでしょう。もし調査士がわからなければ土地家屋調査士会(電話33-2770)へ問い合わせてみてください。
本人が登記申請をすることはできませんか。
登記申請は、本人が申請書を作成してこれを提出すればよいわけです。法務局の窓口には申請書の見本が備えてあり、わからないところは親切に説明してくれますから申請書の作成は可能です。しかし申請書は、様式や図面の形式が定められており、高度な技術と専門的知識を要するものでありますから、誰でもできるとは限りません。
家を建てたまま登記をしないとどうなりますか。
家を新築すると1ヶ月以内に法務局へ表示登記の申請をするよう義務づけられています。申請を怠っていると10万円以下の過料をとられることがあります(不動産登記法第一五九条ノニ)。
どんなときに申請義務があるのですか。
家を新築したり、増、改築あるいは取り壊したとき、また、田や畑を宅地などに地目を変更したりしたときです。
どうして登記をしなければいけないのでしょうか。
土地や建物はすべて誰かが所有しています。これらの不動産は、どこにどんな形であり、淮が所有者かを登記(公示)することによって所有者の権利が守られます。そして、不動産の取引上の争いを未然に防ぐこともできます。そのためには不動産の状況を正しく表示しておく必要があり、重要なことであります。
古い建物の滅失登記は誰がすればよいのですか?
5年ほど前に古い家を取り壊して住宅を新築しました。このたび融資を受けるために建物登記記録の全部事項証明書を請求したところ、古い家の全部事項証明書の交付を受けました。新しい建物の全部事項証明書を請求したところ「あなたの建てた住宅は登記されていないので古い家の滅失と新しい家の登記をする様に」と言われました。古い建物の所有者は死亡しています。これらの登記申請はだれがすればよいのでしょうか。
建物を取り壊したり焼失したりして無くなった場合は建物の新築と同じく1ヵ月以内に滅失の登記申請をする事となっています。
所有者が死亡したり、所在が不明とかいう様な場合、その所有者に対して滅失の登記申請をしてもらわないと請求出来ないので、関係のある相続人か、あるいは新築建物の所有者などから建物滅失の申出書によって、抹消登記をする事が出来ます。
あなたの場合、相続人であるあなたが申請人となって滅失登記申請と新築建物の表示登記申請をされれば、法務局において、新建物と旧建物の同一性の有無を調査して、現状と一致した登記が行われます。なお滅失の登記がされますと権利登記関係(たとえば抵当権とか地上権等)はすべて消滅します。物体のないものに権利は宿りません。
詳しくはもよりの土地家屋調査士あるいは司法書士におたずねください。
建物表題登記がされていないままでよいのでしょうか?
今年になって知人より土地と建物を買いました。土地は登記したのですが建物は登記してありませんでしたので、そのままになっています。このままでよいのでしょうか。また、私の名義で登記することはできるでしょうか。
一般的な売買では、前所有者が建物の表示及び保存登記をし、土地・建物を同時に所有権移転登記します。しかし、すでに売買が終了してしまっていますから、一日も早く建物表題登記を申請されることです。
この欄で何度もお答えした通り、未登記の建物は、新しく所有者になった者が事件の発生した日から1ヵ月以内に申請することになっています。
次に、あなたの名義にすることはおそらく可能でしょう。しかしこれも、一日でも早い方がよいと思います。古い未登記の建物が売買され、新所有者から登記する場合、実務上は前所有者の固定資産証明書と、前所有者からの売渡証明書(印鑑証明書付)を添付するのが一般的な方法です。
固定資産証明書は、納税者の証明書です。前所有者がきちんと納税していれば問題となることはまずありません。ところが売渡証明書については、前所有者の実印を押し、印鑑証明書を添付しなければなりません。すでに売買が終了していると、「なぜいまごろになって実印がいるのか」と言われたり、何年もたってしまって頼みにくくなったりして、そのままになってしまうこともあるのです。
なおこの他にも、場合に応じたいろいろな方法が考えられますので、その専門家である土地家屋調査士にご相談ください。
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