土地に関する相談
- Q1 登記記録の面積を直すことができますか?
- Q2 二筆共に「宅地」へ地目変更できますか?
- Q3 屋敷内の農道を自分の土地とすることができますか?
- Q4 担保が付いていても土地を分割することができますか?
- Q5 地図の訂正はどうすればできますか?
- Q6 農地の転用許可を得たのになぜ地目が変わっていないのですか?
- Q7 「雑種地」というのは何ですか?
- Q8 傾斜地を整地すると面積が減るのではないですか?
登記記録の面積を直すことができますか?
登記記録では、敷地が330平方メートル(100坪)になっています。実際に巻尺で測ってみたところ396平方メートル(120坪)になりました。登記記録の面積を直すことができますか。
土地地積更正登記を法務局に申請することにより、登記記録に「地積」と記載されている土地の面積を直すことができる場合があります。
地積が増える原因は、いろいろ考えられます。この場合は、おそらく旧土地台帳付属地図と呼んでいる公図が備えてある地域だと思います。この公図は、ほとんどが明治年間に作られたものです。中には、縄のび(曲尺と鯨尺との違いによる)によって土地に余りを持っていることがあるのです。
いずれにしても、十分な調査に裏づけられた確実な境界の確認と、正確な測量が必要なことは当然ですし、なによりも隣接者全員の同意を欠かすことができないことから、土地家屋調査士業務の中でも完結が難しい登記の一つになっています。
詳細については土地家屋調査士にお尋ねください。
二筆共に「宅地」へ地目変更できますか?
二筆の田を同時に譲り受けて埋め立て後に、図のように住宅を新築しました。両方共に「宅地」に地目変更ができるでしょうか。
お尋ねの場合には、3番の土地は、明白に「建物の敷地」ですから「宅地」。4番の土地は、直接には建物が存在せず、家庭菜園や空き地として放置されている場合には、その取り扱いが微妙なものとなります。しかし前面道路から玄関への進入路であり、日常生活に潤いを持たせるための庭園や、乗用車の駐車スペースとして利用されていると推察されます。従って両土地は、不可分の関係にある1団の土地として「宅地」と認定される可能性が大きいものと考えられます。
不動産登記法施行令によれば、「宅地」とは『建物の敷地およびその維持若しくは効用を果たすために必要な土地』と定義されております。具体的な認定については、その土地の位置する地域(区域)、利用状況および近隣の開発状況などを総合的に判断されます。
なお、農地を農地以外に地目変更登記するときには実務上「農地転用許可書」を添付することとされています。あなたの場合は、すでに売買がなされています。この所有権移転登記をする前に、農地転用許可を受けてあるはずですから、これを添付して申請することになります。
詳しくは土地家屋調査士にお尋ね下さい。
屋敷内の農道を自分の土地とすることができますか?
昔から板塀で囲まれた屋敷の中に、農道(幅1メートル)があると、区長から言われてびっくりしています。どのような手続きをすれば自分の土地とすることができるでしょうか。
官有地(里道・水路など)の売払申請という手統きがあって、用途が廃止された里道などの土地代金を国や市町村に支払って自分の土地にすることができます。
昔は、田や畑であった土地を現在は宅地として使用していると、現地には何も存在しないのに、法務局に備え付けられた公図には、地番の付いていない里道、水路が載っていることがあります。これには、いろいろ事情はあるのでしょうが、以前に農道あるいは水路として使用されていても、例えば大きな道路が敷設されたり、または、水路を付け替えたような場合に生じます。
本来これらの官有地は、個人で勝手に、自分の利益のために、その用途を変更したり、廃止したりすることは許されません。用途を変更または廃止する前に、公共用財産用途廃止の手続きをしなければなりません。用途廃止して差し支えなければ、大蔵省管轄の財務事務所へ国有地売り払いの申請をすることになります。この申請をする時には、必ず有資格者が測量した「地積測量図」が必要です。この面積に基づいて、国の定める代金を支払って払い下げを受けることとなります。その後に、交付される『登記承諾書』を添付して土他の表示登記と保存登記を法務局に申請して、はじめて自己所有地であることを主張できることになります。
詳細については、土地家屋調査士にお尋ね下さい。
担保が付いていても土地を分割することができますか?
以前に屋敷を担保に差し入れて銀行から融資を受けました。このたび、この土地の1部(50坪=165平方メートル)を売ることにしました。担保(抵当権設定)が付いていても土地を分割することができるのでしょうか。
一筆の土地を分割して新たに地番を付し、登記所の公図に筆界線を入れて、二筆以上の独立した土地とすることを分筆登記といいます。抵当権設定がなされていても分筆登記はできます。土地を分筆すると、分筆した土地には抵当権は付かないと思っておられる人がありますが、分筆したすべての土地に抵当権は及ぶのです。ですから、ご質間の場合にも、売却する部分(50坪)に抵当権は付いていきます。
そこで売却する土地には、抵当権が消滅するという、『抵当権消滅承諾書』を銀行から得ます。この『承諾書』を土地分筆登記の申請書に添付して法務局に提出することにより、この部分は、抵当権のない土地となって売買は可能となります。
もう一つの方法は、抵当権を付けたままで分筆して、50坪の部分については「抵当権を解除したる旨の書面」(一部解除証明書)を得て、売買の所有権移転の登記と同時に担保を消す方法もあります。
いずれの方法も、抵当権者である銀行の同意を必要としますので、事情を話してよく相談してください。
なお、『承諾書』を添付した土地分筆登記の申請代理人は、土地家屋調査士が、『一部解除証書』で抵当権まっ消の登記申請代理人となるのが司法書士です。
詳細については、土地家屋調査士にお尋ねください。
地図の訂正はどうすればできますか?
先日、法務局で地図を写してきました。権利書と照合してみると、5番の土地は図の点線のように分かれていなければならないのです。地図を直すにはどうしたらよいでしょうか。
地図が誤りであることを明らかにした資料を添付して、地図訂正の申し出をすることにより直すことができます。お尋ねの地図訂正は、以前に5番の土地を5番1・5番2に分筆した地図が修正されていないため、この修正を求めるものと考えられます。
地図の誤りを明らかにする資料とは、5番の土地をどのような形状で分筆したのかを明確に示したものです。具体的な場合によって異なりますが、分筆した際に法務局から交付された登記済証、市町村役場に備えつけてある地籍図の写し、現地を測量した地積測量図などがこれに当たります。なお、分筆登記申請の際に添付した地積測量図が、法務局に保存されているときは、口頭で地図の訂正を申し出ることによって修正することができます。地図訂正の申出書には、このほかに土地所在地、隣接地所有者・利害関係人の承諾書などを添付することとなっています。しかし、これも訂正する事項によって異なります。この場合は、土地所在図、隣接地所有者の承諾書はおそらく必要ないと思います。
地図訂正には種々のものがありますが、その多くは筆界の調査確認、測量、資料の収集など専門的な知識技術を要しますので、詳しくは土地家屋調査士にお尋ねください。
農地の転用許可を得たのになぜ地目が変わっていないのですか?
住宅を新築することになり、土地登記記録謄本を見たところ地目がいまだ「田」のままでした。6ヵ月前に「農地の転用許可書」の交付を受けてありますので「宅地」に変更されているものと思い込んでいました。なぜ「宅地」になっていないのでしょうか。
結論から申し上げますと「農地の転用許可」を得ただけでは、まだ地目変更したことにはなりません。法務局に「地目変更の登記」を申請しなければ地目は変わりません。
一般的に、田などの農地に住宅を建築する場合には、まず所轄市町村の農業委員会を通じて農地転用の許可申請を行い、県知事の許可を受けなければなりません。しかしこの許可を受けただけでは、住宅用地として使用変更することを許可されたに過ぎず、まだ地目を「宅地」に変更したことにはなりません。実際に田が宅地に変えられた時、はじめて地目変更と認定されます。
地目の認定においては、土地全体としての利用状況を勘案して定められますので、土地の一部のみ埋め立て整地して住宅を建築しても残りの部分が依然として田として耕作されている場合には、その土地全体を「宅地」に地目変更するわけにはいかず、利用目的が異なる部分ごとに分筆しなければなりません。地目変更については、一律ではなく、申請地の使用形態はもちろんのこと、その地域や付近の状況等によっても可否判断が異なってきます。
詳細については、土地家屋調査士にお尋ねください。
「雑種地」というのは何ですか?
「雑種地」というのは何でしょうか。実は大分以前から休耕田で雑草が繁茂して手がつけられない土地があるのですが、これは雑種地なのでしょうか。
結論としてお尋ねの土地は、不動産登記法上では雑種地ではありません。
不動産登記法施行令は地目について宅地、田、畑、山林・・・雑種地と21に区分してその内容を規定しています。そして雑種地とは、前に掲げた20の特定地目のいずれにも該当しない利用形態の土地をいうのです。一般的に駐車場、資材置場、ゴルフ練習場、自動車教習場等が例としてあげられます。
お尋ねの様に雑草が繁茂しているからといって、雑種地というものではありません。休耕田のように本来は田であるが耕作を放棄しているので雑草木が繁茂した状況になっても、耕作を再開すれば、(これには相当の手間が必要でしょうが)再び田として利用出来るのですから、やはり田としか認められないでしょう。
また、放置してこうなったのではなく、田を造成して宅地とする場合、埋め立て整地した段階をとらえて雑種地といえるかというと、これもある地目から他の地目へ変えるべき過渡的な時点の状態であって、その現状をもって雑種地とはいえないでしょう。
要は現況の土地の利用状況が本来的なものであるか、あるいは一時的なものであるかについても、判断されなければならないわけです。
傾斜地を整地すると面積が減るのではないですか?
私の買った土地は山林です。売買の時に測ってもらった図面はありますが、土地が傾斜しているので、整地して平らにすると面積が減るのではないでしょうか。
ご心配はいらないと思います。土地家屋調査士が押印した求積図ならば、がけなどを含めたすべての傾斜によって変わることはありません。
面積とは、その表面に沿う斜面でなく、その土地を囲む境界線を一定の基準面に投影した広さをいいます。ですから、傾斜地では必ず水平な面に投影した寸法や面積になるように計算して図面に表します。
ただし「整地して平らにする」ときは注意が必要です。整地することによってすべての境界が失われても再び同じように復元できる措置をしておくことが必要です。「図面がある」とはおそらく寸法図のことと思います。これだけですべての復元作業ができれば問題はないのです。しかし図面があっても、図に示してある境界点がすべて失ってからでは打つ手がなくなってしまいます。「整地したら地境がわからなくなってしまったので」と言ってこられることがありますが、事前にご相談いただければ、何も問題は生じません。
不必要な境界紛争を避けるためにも整地など現況が変わることが予想される時には、その専門家である土地家屋調査士に、事前に相談されることをおすすめいたします。
PDF 形式の文書をご覧になるためには、Adobe Reader® が必要です。
ご利用のパソコンに Adobe Reader® がインストールされていない場合は、左記のリンク先ページから Adobe Reader®(無料) をダウンロード、インストールしてご利用ください。